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異常巻アンモナイトについて

1.異常巻アンモナイトとは

アンモナイトの形を大きく分けると、現生のオウムガイと同じように同一平面に螺旋に巻いた「平巻」形態と、紐がほどけたような複雑な巻き方をする「異常巻」の2種類が存在する。世間一般が想像するアンモナイト像は前者で間違いないが、後者もまたアンモナイトを特徴付ける一群である。かつて、異常巻は系統進化上の「寿命」がつきたことに伴う奇形とされていたが、現在は、それぞれの生活環境に高度に適応した姿であると考えられている。

平巻アンモナイトと異常巻アンモナイト

2.異常巻アンモナイトの形

異常巻アンモナイトの形は実に多様性に富んでいる。平巻がほどけたようなもの、棒のようなもの、巻き貝のようなもの、クリップのようなもの、さらにはニッポニテスのように立体的な複雑な巻き方をするものもいる。これらの形はアンモナイトの属する科によってある程度決まっていて、例えばツリリテス科は巻き貝状、バキュリテス科は棒状、ディプロモセラス科は平面ゆる巻きまたはクリップ状、ノストセラス科は複雑な立体巻である。

いろいろな形をした異常巻アンモナイト

また同じ種であっても個体ごとにも差がある。例えば現生の巻貝に右巻と左巻があるように、ツリリテス科やノストセラス科のアンモナイトにも右巻、左巻がある。

ユーボストリコセラス・ジャポニカムの左巻と右巻

3.異常巻アンモナイトの分類

ゴニアタイトなどを除いた狭義のアンモナイトは分類学上、「軟体動物門頭足綱アンモナイト亜綱アンモナイト目に属する一群」と定義されている。
このアンモナイト目の下にはさらに幾つもの亜目が設けられていて、そのうちの一つ「アンキロセラス亜目」にツリリテス科、ノストセラス科、ディプロモセラス科、バキュリテス科、スカフィテス科といった異常巻アンモナイトのグループが属している。ただし、アンキロセラス亜目のアンモナイト全てが異常巻というわけでは無く、例えばドウビレイセラス科のアンモナイトは平巻である。

4.異常巻アンモナイトの生息年代

異常巻アンモナイトの大多数は中生代白亜紀に出現した。特に白亜紀後期になるとノストセラス科などのグループが出現し、大発展期を迎えた。ニッポニテスなども白亜紀後期に入ってから現れた。そして白亜紀末期に恐竜と共に姿を消した。

5.異常巻アンモナイトの発掘

日本国内で異常巻アンモナイトが発掘出来る場所として、北海道と淡路島がよく知られている。北海道中央を縦に走る蝦夷層群からはニッポニテスやポリプチコセラスなど白亜紀後期の異常巻アンモナイトが豊富に産出する。四国から淡路島を経て和歌山まで分布する和泉層群からはディディモセラスやプラビトセラスが産出する。
海外の産地ではアメリカ合衆国、ロシア、フランス、モロッコ、マダガスカルなどがよく知られている。メキシコやアルゼンチンなど国によっては発掘行為そのものや国外への持ち出しを禁止しているところもある。

4.異常巻アンモナイトの入手方法

自分で発掘する以外の入手方法として購入がある。化石を取扱っている専門店は日本各地にあり、店の人と顔なじみになれば標本を探してもらえる。ヤフオク等のオークションサイトでは掘り出し物が見つかることもあるが、時に偽物や品質の低いものも出回っているので注意が必要である。池袋や新宿などで定期的に開催されているミネラルショー・ミネラルフェアでは海外の化石ショップも出店しており、海外の希少標本も取引されている。値段はピンキリで、比較的安価なものからウン100万円もする超高額標本も存在する。値段交渉すれば値引きしてくれることもある。

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